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確定拠出年金制度への加入条件拡大について

2016年06月24日

 個人型DC(確定拠出年金制度)など加入条件が大幅に緩和された改正確定拠出年金法が5月24日に成立した。昨年1月に閣議決定された平成27年度税制改正大綱で既に税制上の対応は決定していたものの、前通常国会において安保関連法案の影響で同法の審議が遅れていたが、年度を越えて参議院での採決となった。同法の施行は概ね平成29年からとなっており、その内容は次のとおり。

○個人型DCの利用拡大に向けて
 専業主婦(第3号被保険者)や企業年金加入者、公務員(共済年金加入者)なども、個人型DCに参加することができる。つまり、今回の改正で全国民年金制度の加入者(約6,700万人)から現在の個人型DCの利用者(約25万人)を除いた被保険者が対象となる。また、従業員100人以下の企業(以下、小規模企業)であれば、個人型DCに加入している従業員に対して、事業主が追加で掛金を拠出することが可能となる(個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度)。新たに加入者となる人の年額拠出限度額は、専業主婦が27.6万円、公務員や企業DB(確定給付年金制度)の参加者が14.4万円となる。

○DCの普及・拡大のために
 DCの掛金が月額単位から年単位化され、賞与時にまとめて拠出することも可能だ。小規模企業がDC制度を利用し易くするために、「運営管理機関契約書」等の設立時書類を半分以下に省略し、行政手続を金融機関に委託することを可能とする簡易型DCも制度整備される。例えば、現在の企業型DCの拠出限度額は月額5.5万円で、前月に4万円拠出した場合、前月の拠出限度額未使用分1.5万円と合わせて当月7万円を拠出することはできないが、改正後はこれが可能となる。

○年金資産のポータビリティ(企業間持ち運び等)の拡充
 企業DBで積み立てた資金を、転職時に転職先の企業年金(DCなど)に移管し、これを合算させて企業年金で運用することを可能とする。この改正により各年金制度の加入期間も合算することで、DB分の支払いに必要な加入者期間の条件を満たして、DB分も年金として受け取ることが可能となる。また、この改正により、企業年金に係る諸手続きを、複数の制度に対して行う負担も軽減される。

○DCでの年金資産運用の改善策として
 DCの運用は制度加入している個人に任されるが、自分で運用することに困難を感じる個人も多い。そのため、DC制度加入者への投資教育が重要で、現在は約半数しか実施していない継続投資教育(制度導入後に繰り返し行うもの)を企業側の努力義務化して、加入者の運用意識向上を図る。なお、企業側はDCの投資教育を知見のある企業年金連合会に委託することができる。
 また、現在の企業型DCでは元本確保商品での運用が6割超と運用資産に偏り(DBの場合は3割弱)があるが、これを改善し加入者の分散投資を促す目的で、あらかじめ複数の運用商品とその比率を定めた(いわゆる、デフォルト商品。米国での制度導入で分散投資の効果あり)指定運用方法に係る規定を整備する。

 以上のように、DCは大きく改善されるが、特に個人型DCの利用拡大が今後注目される。利用者が1,000万人に迫ってきたNISAと合わせて、長期投資による個人資産形成のために必要な制度となることが期待されている。投資運用会社が良質な運用商品を供給すること、運営管理機関(金融機関)が利用者に負担の少ないオペレーションを行うこと、レコードキーピング組織が利用者の運用指示や運用状況を分かり易くサービス提供することなど、利用者拡大のためには利便性の向上が求められる。とりわけ、各関係者による個人への投資教育の重要性が一層高まっている。

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